広報みずまき2020年7月10日号(特集)
更新日:2021年2月11日
夏本番、熱中症に注意
夏が来るたび耳にする「熱中症」。重症化すると死に至る危険のある熱中症ですが、適切に対応すれば予防することができます。これから本格的な暑い夏がやってきますが、正しい知識を身に付けて、しっかりと予防し、楽しい夏を過ごしましょう。
- 問い合わせ いきいきほーる健康課 電話番号:093-202-3212
熱中症はどのようにして起こるのか
温度や湿度が高い中で、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の調整機能が働かなくなり、体温上昇、目まい、体のだるさを感じるものです。また、ひどいときには、けいれんや意識異常などのさまざまな症状を引き起こすことがあります。さらに、重症化すると死に至る危険もありますので、予防が大切です。
家の中でじっとしていても部屋の温度や湿度が高いことが原因で、体から熱が逃げにくく熱中症になることがありますので、注意してください。
原因は気温だけじゃない 体調管理も忘れずに
高温・多湿・風が弱い・熱を発生するものがあるなどの環境では、体から外気への熱放射が減少し、汗の蒸発も不十分になるため、熱中症になりやすいといわれています。気温がそれほど高くなくても湿度の高い日や風の吹いていない日、急に気温が高くなった日なども十分な注意が必要です。
また、熱中症は、外気だけが発症の原因になるとは限りません。体調不良・寝不足・水分補給の状態・暑さに慣れていないなどの場合も熱中症を発症するリスクが高まります。日頃から体調管理を徹底しましょう。
近年の発生状況 室内でも油断できません
熱中症は7月・8月に多く発生し、毎年約5万人が救急搬送されています。そのうち約半数が高齢者です。また救急搬送者のうち約4割の人の事例が自宅の敷地内で発生していることがわかっています。室内でも十分に注意し、すだれやカーテンで直射日光を遮ったり、換気をして涼しい空気を入れたりしましょう。必要に応じて扇風機やエアコンなどを使用し、部屋に熱がこもらないような工夫が必要です。
救急搬送者が急増 特に注意が必要な時期
政府は熱中症を発症する人が急増する7月1日から8月31日までの期間を熱中症予防月間と定めています。7月は体が暑さに慣れていない人が多く、梅雨の晴れた日などは、熱中症を発症するリスクが高まります。さらに梅雨明けは蒸し暑く、気温も急に上がるため、例年、救急搬送者や死亡者が急増しています。この期間は特に注意しましょう。
いつもと違う夏、熱中症予防と感染予防
今年の夏は新型コロナの影響でマスクを着けて過ごす人も多いと思います。気温の高い時期にマスクを着けた生活を送るのは、ほとんどの人が初めての経験となるのではないでしょうか。
マスクを着けていると体温が上昇しやすくなります。また、口元に湿気が溜まりやすく、喉の渇きを感じにくくなるため、気付かないうちに脱水になってしまうということが考えられます。さらに、春に外出自粛生活を送っていることから、多くの人が汗をかいていない・運動をしていない傾向に…。そのため、体が暑さに慣れておらず、汗をかいて体温を下げるなどの機能が低下している可能性があります。
これらのことからも、この夏は例年以上に熱中症への注意が必要です。十分に感染予防しながら、熱中症の予防に取り組みましょう。
この夏の熱中症予防のポイント
この夏は新型コロナの感染防止に努めながら、熱中症対策をする必要があります。そのポイントを5つ紹介します。
1.暑さを避ける
- エアコン・扇風機を利用する
- 暑い日・暑い時間帯は無理をしない
- 感染予防のため、換気扇の使用や窓を開けるなどして定期的に換気をする
2.マスクを外す時間作る
- 屋外で人との距離が2メートル以上確保できるときはマスクを外す
- マスクを着けているときは、負担のかかる作業や運動を避け、喉が渇いていなくても水分を補給する
- 人との距離が十分にとれる場所では、適宜マスクを外して休憩する
3.小まめに水分補給
- 喉が渇く前に水分を補給
- 大量に汗をかいたときは水分に加えて塩分も補給(梅干しや塩飴など)
4.日頃から体調管理
- 毎日体温測定をし、健康状態をチェック
- 体調が悪いと感じたときは無理をせず自宅で休養する
5.暑さに備えた体力づくり
- 暑くなり始めの時期から適度な運動をして体力をつける(「やや暑い環境でややきつい」と感じる程度)
注:運動するときは、水分補給を忘れずに、無理のない範囲で行うこと。
子どもと高齢者は特に注意が必要です
子どもと高齢者は特に熱中症になりやすいといわれています。暑い日や湿度の高い日は注意が必要です。周囲の人たちは、高齢者や子どもたちに声掛けをし、注意を呼び掛けてください。
予防のポイント
- 子どもの異変に敏感になる
- 外出時は照り返しに注意
- 服装を選ぶ
- 水分を小まめに飲ませる
- 日頃から暑さに慣れさせる
- 絶対に、車内に子どもだけを置き去りにしない
予防のポイント
- 小まめに水分補給する
- 部屋の温度を測る
- 1日に1回は外に出る
- エアコンや扇風機などを上手に活用する
- 部屋の風通しを良くする
- 涼しい服装で過ごす
何よりも、熱中症にならないこと それが一番大切です
とよさわクリニック院長の豊澤賢明さんに熱中症について話を聞いてきました。
なぜ、熱中症に
私たちの体は体内の熱を放射したり、汗をかいて蒸発させたりして体温の急激な上昇を防いでいます。しかし、気温が高すぎると熱を放射しにくく、湿度が高くなると汗を蒸発させにくくなります。
体内の水分や塩分のバランスが崩れると体温の急激な上昇が起こってしまう、これが「熱中症」です。単に暑い、湿度が高いから起こるわけではないというのがポイントです。
熱中症の怖さ
通常であれば、初期症状として「目まい・ふらつき・頭が痛くなる・食欲不振・だるさ」などの症状が出ます。しかしながら、作業に没頭していたり、運動に熱中していたりすると、初期症状に気付かず、急に倒れることがあります。初期症状での応急手当が肝心な熱中症。応急手当で症状が改善しない場合は病院への受診が必要になりますし、意識がもうろうとしていたり、動けなくなったりすると救急車を呼ぶ必要もでてきます。
また、熱中症の中でも重症な熱射病(意識がなく、動けなくなる)の場合は死亡率が40%と死亡のリスクがあがります。早めの対応が命を守ることにつながります。
危険なサイン
尿の色がコーラ色(茶色っぽい)の場合重度の熱中症になっている可能性が高いです。すぐに病院を受診してください。
予防と対策
熱中症を防ぐには「温度・湿度を下げる」「水分・塩分補給」「無理をしない」「暑さに備えた体力づくり」が大切です。また、天気予報の気温だけを気にするのではなく、実際に自分たちが生活している場所での温度を意識した対策をすることが必要となってきます。
【省エネよりも命を大切に】
もったいないからという理由で、エアコンをあまり使わない人もいますが、省エネよりも命を守ることのほうが大切です。上手にエアコンを使いましょう。
【熱中症の水分補給】
スポーツドリンクや経口補水液、お茶と塩飴などでも補給できます。ただし、塩分補給は熱中症になりやすい状況下での対応であって、常に塩分を多く摂取しないといけないということではないので注意してください。カフェインを含むお茶やコーヒーは利尿作用があるため、水分補給には適しません。また、ビールなどのアルコールは利尿作用で脱水症状になってしまいますので、水分補給にならないということを知っておきましょう。
【無理をしない】
日中無理をすると帰宅後、夜になって熱中症の症状が出てくるということがあります。夜になると開いている病院も少なく対応が遅れてしまうことも…。少しでも異常を感じたら、無理をせずに休息することが大切です。
【体力をつける】
1日10分から15分くらいのちょっと汗ばむくらいの運動をして、体力づくりと暑さに慣れる体づくりをしましょう。
新型コロナと熱中症
新型コロナの影響でマスクを着けて生活する人も多いと思いますが、着けっぱなしはやめてください。1人で運転中の車内や人との距離が取れる屋外など、外せるときは外すようにしましょう。
それと注意することがもう一つ、熱中症は発熱・意識がもうろうとするなど、新型コロナの軽度の症状とよく似ているため、受け入れる病院側も慎重になります。また、病院に搬送されるということは、病院に負担をかけるとともに感染へのリスクを上げることにもつながりかねません。自分の身を守るためにも、熱中症の予防を徹底しましょう。
熱中症と決めつけてませんか
今回熱中症の話をしましたが、この時期熱が出たり、だるさなどを感じたりすると、全てを熱中症だと当てはめてしまいがちです。けれど実際には、他の病気が潜んでいるという場合もあります。熱中症になるような状況下ではないにも関わらず、調子が悪いときは自己判断で熱中症と決め付けず、かかりつけ医に相談してください。
とよさわクリニック 院長 豊澤 賢明さん
平成18年7月に開業。
生まれ育った町の医療に貢献したいと下二東で内科の院長として診療を行っています。
熱中症チェックと応急手当のポイント
熱中症かな。と思うようなサインがあったときはすぐに応急手当を行い、状況に応じて病院への受診や救急車を呼ぶなどしましょう。
正しい情報を収集して熱中症から身を守りましょう
暑さ指数(WBGT)で未然に予防
環境省では熱中症を未然に防ぐため、熱中症へのかかりやすさを示す「暑さ指数(WBGT)」の情報を提供しています。熱中症予防の参考にしてください。
暑さ指数:日常生活に関する指針
31度以上:外出時は炎天下を避け、室温の上昇に注意
28度から31度:外出時は炎天下を避け、室温の上昇に注意
25度から28度:運動などをするときは定期的な休息を
25度未満:危険性は少ないが、激しい運動などに注意
熱中症の詳しい情報
環境省の熱中症予防情報サイトに日本全国の暑さ指数(WBGT)や、熱中症の基礎知識、対処方法などの詳しい情報が掲載されています。熱中症対策の参考にしてください。
- 環境省熱中症予防サイト(外部サイトにリンクします)
全国版救急受診アプリ「Q助」
消防庁が作成したアプリで、該当する症状を選択すると緊急度を素早く判定し、救急車を呼ぶ目安などが分かります。救急車を呼ぶべきか悩んだときに利用してください。
- 全国版救急受診アプリ「Q助」(外部サイトにリンクします)
熱中症にならないために私たちができること
誰にでも起こりうる熱中症。今年は熱中症と新型コロナの両方を対策しなくてはいけない、誰も経験したことのない夏を迎えることになります。一人ひとりが、熱中症に対して今まで以上に注意し、対策をしなければいけません。まずは、ならないように予防を徹底すること、そして万が一なってしまったら、早急に応急手当を行うこと、そのためには熱中症に対して正しい知識を身に付けることが大切です。熱中症は気付くことで防ぐことができます。「私は大丈夫」ではなく、「みんなで気を付ける」ことで熱中症ゼロを目指しましょう。
このページの担当部署
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